FXのデイトレードでなかなか損切りができず、待ち続けていたら大きな含み損を抱えてしまった…そんな経験はありませんか?
実際のところ、これは多くのトレーダーが抱える悩みであり、単なる気持ちの問題ではなく、値動きの特性を正しく理解できていないことが原因のひとつです。
今回の記事では、損切りが難しい理由を深掘りし、値動きを正確に把握することで可能となる対策をお伝えします。これを知れば感覚に頼らず、リスクをコントロールしたトレードが可能になりますよ!
このブログ記事では「値が動いた後でエントリーしないこと」と「値幅の下限にストップロスを設定しないこと」が適切な損切りを実現するために必要な対策だと結論付けています。リスクリワードの良い取引を行う上で重要な内容になっていますので是非、読んでみてください!
損切りができないならトレードはやらないほうが良い
デイトレードを行う上での大前提
レバレッジを使ったデイトレードを行う上での大前提は「適切なタイミングで損切りができること」になります。
相場は不確実なものであり、どんなに経験を積んだトレーダーであっても勝率を100%にすることは出来ません。勝率が100%にならないということは、必ず損切りの必要な状況が存在するということであり、もし損切りができなければ、たった1回負けただけでも全資金を失うほどのリスクがあるのです。
リスクを限定してトレードを行うためには「適切なタイミングで損切りできる」ことが必要であり、損切りせずにナンピン買いや塩漬けを行ってはいけない。
無免許で車を運転するようなもの
例えば、自分が自動車の運転をしたいと思ったら、教習所に行きますよね。
まずは座学の授業で知識を習得してから、運転の練習をすることになります。そして、仮免許の試験に合格したら初めて公道の走行が可能になるのです。
ペンギン
知識を習得せずに、練習もしたことのない人が車を運転したらどうなるでしょうか?おそらく高い確率で事故が起きてしまいます。
FXのデイトレードでも同じことが言えると思います。損切りができないのに、レバレッジを使ってトレードしている人がいたら、それは無免許で車を運転しているのと同じような状況なのです。
トレードにおいても知識を習得し、練習(検証)することが重要であり、これを行わないと損切りができるようにならない。
トレードに必要な最低条件=最高難易度である
損切りがデイトレードを行う上での最低条件であることは、ほとんどのトレーダーが知っていることですし、初めてトレードを行う人であっても、その重要性を意識しています。
しかし、頭で分かっていても実際のトレードでは損切りできないことが多いのです。
なぜなら「損切りできること」はトレードにおける最低条件ですが、人にとっては最高難易度になるためです。FXで継続的に利益を出しているトレーダーが全体の1割程度しかいない理由はここにあると思います。
適切に損切りを行うことは非常に難易度が高く、実現すること自体が困難であるため、多くの人は損切りできないのに取引を行ってしまうのです。
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なぜ損切りは難しいのか?
損切りした直後に思惑通りの方向に値が動いた
損切りが難しい理由として、損切りした直後に思惑通りの方向に値が動いてしまい、損切りすること自体に意味を感じられないことが挙げられます。
何が原因でこうなるのかと言うと、エントリータイミングが早すぎる場合と、ストップロスの置き場所がエントリーポイントに近すぎる場合のどちらかが考えられます。
どちらの場合もストップ狩り(逆指値狩り)に遭いやすくストップロスが発動した後に、値が動くのです。
しかしながら、トレードを始めたばかりの人は、そもそも何が原因で上手く損切りできないのか分からないのです。その結果、ストップ狩りに遭いたくないという気持ちが先行してしまい、損切りができなくなります。
エントリータイミングとストップロスの置き場所が適切でないと、ストップ狩りに遭いやすく、損切りした後に値が動いてしまう。
損切りせずに待っていたら値が戻ってきて救われた
ストップ狩りに遭いたくないからストップロスを設定せずにトレードを行ったとします。当然ながら分析が外れれば含み損を抱えてしまい、塩漬けにしたり、ナンピン買いしたりすれば大損です。
しかし、含み損の状態で待っていたら運よく値が戻ってきて救われることがあります。一見問題なさそうに見えますが、これはレバレッジを使ったトレードにおいて最も恐ろしい状況になり得るのです。
どういうことかと言うと、一度救われてしまったトレーダーは損切りしないほうが利益が出やすいと勘違いしてしまい、何度も同じことを繰り返してしまいます。上記のチャートでは一段下のサポートラインで反発したから救われましたが、反発しなかったら大損するのです。
結局のところ、トレードシナリオが外れているのに損切りしなければ、遅かれ早かれ、いつかは資金を失うことになります。しかも、損切りしないことが常態化しているため、負けるときには取り返せないくらい大きく負けてしまい、最後は破産するのです。
損切りしないで待っていると運よく救われることがあるが、これは呪縛のようなものであり、その後に大きく負けることが確定している。
最終的には損切り貧乏になる
ストップロスを狩られているにも関わらず、損切りを継続したらどうなるのでしょうか?
その場合は損切りが連発するため、1回分の損失は小さくても合計すると大きな損失になり、損切り貧乏になります。
ですが、ほとんどの人は自分の資金がジワジワと減っていくことに耐えられず損切りできなくなり、結局は塩漬けやナンピン買いをして大損するのです。
つまり、損切りしても、しなくても資金を失うという結果に変わりはなく「それなら損切りせずに待って様子を見よう」というのが多くの人の行動になります。
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相場は人の感覚とは逆に動く
損切りが難しい根本的な原因は、人の感覚とは逆に値が動くことだと言われています。
実際に私は、エントリーの際に「ロングしたら下がるし、ショートしたら上がる」という経験をしたことがあります。この状況はエグジットの際にも当てはまるため「ロングを損切りしたら上がるし、ショートを損切りしたら下がる」ということも起こるのです。
ペンギン
上記のチャートからも分かるように「サポートラインがブレイクされたら下落が継続しそうだな」という感覚にまかせてストップロスを設置すると、損切りした後に上昇します。
実際のチャートではサポートラインが一時的にブレイクされただけでは、下落しません。上位足の実体が明確にサポートラインをブレイクし、いずれかの時間軸でロールリバーサルが起きた場合に下落継続となります。
知識を習得せず、検証も行わずに感覚に頼ったトレードを行えは、ほとんどの人は大損することになります。そのため、まずは値動きに翻弄されにくい分析手法の確立を最優先にしなくてはいけません。
相場では人の感覚とは逆に値が動くため、翻弄されてしまうと損切りが出来なくなる。
相場における最も重要な値動きの特性
価格と価格の間を行ったり来たりしているだけ
翻弄されにくくなるには、値動きの特性を理解した上で分析を行う必要があります。
まず第一に相場で最も意識されているものは「価格」であり、チャート上で価格を表しているのが水平線なのです。水平線が2本あれば値幅となり、その内部を行ったり来たりするのが値動きの本質であることを覚えましょう。
水平線が重視される事象には、機関投資家の行動が大きく影響していると言われています。
個人投資家と比較すると機関投資家は莫大な資金を運用しているため、ロングポジションを取ろうとするなら、自身のポジションに匹敵するだけのショートポジションが必要になります。
チャート上で売りの注文が蓄積しているところはどこだと思いますか?
それは、買い手の投資家がストップロスを設定している水準であり、サポートラインの直下です。つまり、機関投資家がサポートラインの下でロングポジションを取るため、水平線をブレイクしたように見せてから一気に反発して上昇する動き(ストップ狩り)になることが多いのです。
この部分をチャートが完成した後に見るとロウソク足が下ヒゲを出して確定しており、水平線の上で反発が起きたように見えます。
もし、自身が上記のような値動きに巻き込まれてしまい、ヒゲ先でストップロスを狩られているのであれば、損切りの設定を間違えている可能性が高いのです。
機関投資家はサポートラインの下でロングポジションを取るため、同じところにストップロスを設置すると狩られてしまう。
価格と時間が交差した時には大きく値が動く
水平線が価格を表すのに対して斜めの線は時間を示しています。
チャート上には水平線以外にトレンドラインや移動平均線など斜め方向の線が存在しており、当然ながらこれらを見ながらトレードを行っている方もたくさんいるのです。
例えばチャート全体が上昇トレンドであった場合は、サポートラインを見ながらエントリーするトレーダーと、トレンドラインを見ながらエントリーするトレーダーがいることになります。
そして、2本の線が交差するポイントでは、水平線を基準にしている勢力と、斜めの線を基準にしている勢力の行動が重なり、買い圧が増すため、大きく値が動くのです。
ペンギン
値が動く直前にストップロスを設定したほうが、翻弄されにくく、ストップ狩りにも遭いにくくなります。
- 水平線と斜めの線が交差するポイントを選定すれば、値が動く直前にエントリーできるため、損切りせずに待つ必要はなくなる。
- 適切な損切りを実現するには、エントリーのタイミングと、ストップロスの置き場所の両方が重要である。
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適切な損切りを実現するために必要な対策について
値が動いた後でエントリーしてはいけない
チャート上で価格は、値幅の内部を行ったり来たりしている訳ですから、水平線で反発したことを確認してからでは、エントリーが遅すぎることがほとんどです。
- サポートラインの上でダブルボトムが完成した後にエントリーした。
- 2つの移動平均線がゴールデンクロスしてからエントリーした。
- 上昇トレンドラインの上で価格が反発したことを確認してからエントリーした。
上記のようなエントリーを行った場合、レジスタンスラインの直下でポジションを取ることになるため、含み損の状態で待つ必要があります。
さらに、待ち時間の間にストップロスを狩られる可能性も高いため、このようなエントリーを行ってはいけません。サポートラインの上で値が止まり、トリガールールが満たされた段階でエントリーすることを意識しましょう。
- 上位足の実体が水平線の上で確定し、下位足でトリガールールが満たされたらエントリーする。
- トリガールールが満たされた後に損切りを設定すると、ストップ狩りに遭いにくい。
値幅の下限にストップロスを設定してはいけない
上昇トレンドの継続中に価格が一時的に下落し、サポートラインで反発する際に起きるプライスアクションを考えてみましょう。
- 価格が下落しサポートラインが一時的にブレイクされる。
- 上位足の確定前に買い圧が生じ、ロウソク足の実体がサポートラインの上で確定する。
- 下位足では何度かサポートを試す動きが見られ、ダブルボトムなどが形成される。
- 反発した後にチャートを見ると、下ヒゲではサポートラインをブレイクしているが、実体ではブレイクせずに上昇したことが分かる。
リアルタイムで値動きを見ていると分かることなのですが、レジサポラインなど値幅の上下限は一時的にブレイクされることが多いのです。
だからこそ、サポートラインの直下など値幅の下限付近にストップロスを設定してしまうと高い確率で狩られてしまいます。ストップ狩りを避けるためには値幅の下限でエントリーし、別の値幅の下限にストップロスを設定する必要があります。
表現を変えると、エントリー時には、自分が意識していたサポートラインの1つ下にある別のサポートラインに損切りを設定するということです。
値幅の内部でトレーリングストップを使ってはいけない
トレーリングストップとは、ストップロス(逆指値)が自身にとって有利な方向への価格変動に合わせて、追従(トレール)していく注文方法のことです。
一般的には有用な注文方法であり、利益を確実に確保できるというメリットがあります。
しかし、値動きとは一直線に動くものではなく、上がったり下がったりを繰り返しながら、値幅の下限から上限に向かって動くものなので、トレーリングストップを値幅の内部で使用すると利益を伸ばし辛くなってしまうのです。
デイトレードでは、値幅の下限からエントリーして上限に到達したら利確するので、無理にトレーリングストップを使うと、意図しないポイントで利確されてしまいます。
ペンギン
トレーリングストップを使うのであれば、値幅の上限を突破した後に、支えられた局面なのですが、デイトレードでは時間的な制約もあるため、使いどころはあまりないと思います。
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TradingViewを用いてストップロスの設定を実践する
既にお気づきだと思いますが、適切な損切りを実現するには、ストップ狩りに遭いにくいところに損切りを設定して、その上で勝率50%以上、リスクリワードが1:1以上が必要になります。
これほど都合の良いエントリーポイントはチャート上に僅かしかなく、検証を行わない限り見つけることは難しいと思います。TradingViewのリプレイモードを使用すると、簡単にストップロスの設定を練習することができるので試してみてください。
今回は4時間足(上位足)のチャートでトレンド転換が発生し、その後の押し目を狙ってエントリーする際の、ストップロスの設定を実践してみます。
まず、リプレイモードを起動し、4時間足チャートで価格が直近の高値を更新したポイントまでさかのぼります。
時間軸を30分足まで下げると、チャネルセンターラインとサポートライン(エクスパンション2.618)が交差するポイントでロウソク足が下ヒゲを出して確定しており、このポイントが押し目になる可能性が高いことが分かります。
このポイントでエントリーする場合、損切りを設定するのは直近の安値であり、一段下のサポートラインでもあるエクスパンション2.272の直下になります。
リスクリワードを良くするためには、出来る限り価格と時間が交差するポイントまで引き付けてからエントリーする必要があるので、さらに時間軸を下げて、5分足のチャートでタイミングを計ります。
SL(ストップロス)のボタンをドラッグして損切りを設定し、さらにTP(テイクプロフィット)のボタンをドラッグして利確を設定できます。
最後にリプレイモードの時間を進めて、ストップロスが発動せずに利確されることを確認します。
上記のような検証を何度も繰り返すことで、損切りの設定ができるようになります。
今回の記事では、適切に損切りを行うために必要な対策について、解説させていただきました。しっかり損切りできれば、大損することはなくなるので、是非とも練習してみてください。
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